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INTERVIEW VoL .4 スポーツはミッションとインパクトに満ちたもの

United States Olympic and Paralympic Properties (USOPP) シニアアソシエイト

Lauren Yungさん


PLMは、マサチューセッツ大学アマースト校 アイゼンバーグ マネジメントスクール内のマーク H.マコーマック スポーツマネジメント学科(The University of Massachusetts Amherst, Isenberg School of Management, Mark H. McCormack Department of Sport Management)とパートナーシップを結んでいます。同学科は、世界で最も歴史のあるスポーツマネジメントプログラムの1つ(世界ランキング1位)を有しており、この分野における権威的な講座として位置付けられています。

世界トップレベルの様々なスポーツビジネスの現場で活躍している同校の卒業生に、キャリアや仕事についてのインタビューを行いました。


―自己紹介をお願いします。

私は、United States Olympic and Paralympic Properties (USOPP、ロサンゼルス・オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と米国五輪組織委員会による合弁企業)でシニアアソシエイトとして働いています。所属するチームは2020年の東京大会と2022年の北京大会を直接サポートしているわけではありませんが、私は入社して約2年間、この2つの大会を担当しました。現職に入社する前は、大学院でスポーツマネジメントのMBAとMSを取得しました。

私は生涯スポーツウーマンで、格闘技からサッカーまで多くのスポーツに挑戦しました。最終的にはバレーボールにたどり着き、大学では選手とコーチの両方を経験しました。大学卒業後は、幸運にも女子タックル(アメリカン)フットボールの選手として競技生活を続け、全米選手権で3連覇を達成しました。スポーツは私の人生の多くのステージで役立ってきました。このような経験をできるだけ多くの人と共有できるよう、プロとしてこの分野で働くことは名誉なことです。

 

―今の仕事について教えてください。

USOPPの Commercial Development and Innovation (CDI、事業兼イノベーション開発)チームに所属しています。USOPPは、全米オリンピック・パラリンピック委員会(NOC/NPC)であるUSOPCと、オリンピック組織委員会(OCOG)であるLA28の両方の商業権を管理するために設立されたジョイントベンチャーです。USOPCとLA28は、それぞれ異なる方法で米国におけるオリンピック・パラリンピックムーブメントの推進に責任を負っています。USOPCはアメリカチームの選手のサポートと育成を担当し、LA28は2028年の夏季大会で世界の選手とファンを受け入れる準備を行います。

私の役割は、商業的な戦略や取り組みを通じて、両団体のそれぞれの目標をサポートすることです。それはスポンサーシップという形であったり、新興のイノベーションモデルであったりします。そのため、同業他社や新たなビジネストレンドについて毎日多くの文献を読み、調査をしています。そして所属チームと共に、2つの組織と異なる機能グループを横断して、ムーブメントをさらに発展させ、力を発揮するためにはどのような機会があるかを判断します。

 

―どうやって現職に辿り着きましたか?

スポーツは常に私の人生の一部でしたが、それがキャリアになるとは思っていませんでした。明確になったのは大学卒業後に就職をしてからで、今にして思えば幸運でした。ニールセンでキャリアをスタートし、データ分析、アンケートの作成など、強力で基礎的なスキルを身につけました。しかし、それ以上に重要なことは、この時期の経験が自分自身の内なるコンパスを発達させるのに役立ったということです。ニールセンでの仕事に加え、地元の大学でバレーボールのアシスタントコーチとして何時間も働き、喜びと情熱にあふれた日々を過ごしている中で、私はだんだんスポーツをテーマにしたいと思うようになりました。調べていくうちに、本業とスポーツへの情熱を融合させることができるかもしれないと思いました。

このキャリアの移行は、大学院、特にMBAとスポーツマネジメントのMSを取得するためのUMassデュアルディグリープログラムによって促進されました。カリキュラムにはコースワークとインターンシップが含まれており、自分の興味とスキルを磨くことができました。また、このプログラムによって、業界の人たちと真の繋がりが生まれました。

私の現在の職務は、UMass在学中に行った実習と少し関係があります。それは、米国のオリンピック・パラリンピック・ムーブメントの商業的機会を調査するプロジェクトです。このプロジェクトは、私が現在の職務に就くための準備となっただけでなく、主要な関係者に私の仕事を紹介することができました。現在の仕事を得るためには、他にもさまざまな要因がありますが、大学院での学びがあったからこそ、私はチャンスを生かすことができたと思っています。

―なぜスポーツの仕事をしたいと思ったのですか?

スポーツは常に私の人生の一部でした。スポーツのキャリアを振り返ると、自分自身の成長やマイルストーンを描くことができます。しかし、もっと重要なことは、そのような経験をしているのは自分だけではないということです。レクリエーションのアスリートであれ、トップ・エリートのアスリートであれ、スポーツには人々を集め、橋渡しし、つながりを促進し、個人の能力を最大限に引き出すというユニークな性質があります。スポーツには、感動と悲痛、個人と共同体、新と旧があります。スポーツは、言語、文化、世代、その他多くのアイデンティティーを超越する能力を持ち、それが許されるなら、スポーツはとてつもなく平等な存在となる…。

しかし、スポーツにはまだ多くの制限があり、多くの人がアクセスすることができません。女性アスリートとして、ファンとして、そして今やプロフェッショナルとして、競技の場は常に平等ではありません。スポーツに携わることで、私はスポーツの境界や前提を押し広げ、私がスポーツを通じて得た素晴らしい恩恵や経験を、その人が誰であるか、どこから来たか、どのように認識しているかに関わらず、より多くの人と共有できるようにすることができると考えています。

―スポーツの仕事の魅力は何だと思いますか?

スポーツに携わる多くの人がそうであるように、私もスポーツが好きで、プレーするのも見るのも好きです。ですから、そのことを常日頃から考えられる仕事は素晴らしいことです。しかしそれ以上に、スポーツは非常にミッションとインパクトに満ちたものであることが重要です。私にとって、スポーツは善と変化の、他にはないプラットフォームであるということが、スポーツやスポーツビジネスを面白いと思う最大の理由です。

― スポーツ界で働く難しさはありますか?

他の多くの既存産業と同様、スポーツの世界も必ずしも迅速に変化するわけではありません。確かに、チームなどのスポーツ団体はイノベーションを起こすことができますし、近年では前例のないスピードでそのようなことが行われているのを目の当たりにしています。とはいえ、現在のシステムや環境から外れたところでイノベーションを起こすのは非常に困難です。

また、スポーツ市場は大きく、広大で、豊かで、あらゆるファンダムを支えることができますが、他の産業がそうであったように、新規参入者と既存のプレーヤーとの間のギャップはまだ埋まっていませんし、壊されてもいません。空白があるにも関わらず、そこを埋めることは簡単ではありません。

― ユニークなエピソードがあれば教えてください。

私のスポーツキャリアはまだ発展途上です。大学を出て最初に就職したのがスポーツ界ではなかったこともあり、長い年月をかけて形成されるものだと思います。今の自分の役割や立場は、競技スポーツで育ったことを含め、人生の様々なステージの集大成であると心から思っています。スポーツの世界でも、そうでない世界でも、様々な経験が常に役立っています。

私の親友が「“luck is when opportunity meets preparation”(幸運とは機会と準備が出会うことだ)」と言っていました。私は今の自分があることをとても幸運だと思っていますし、チャンスが訪れたときにそれを生かすことができるのは、長年の準備と努力のたまものだとも思っています。

―スポーツ業界を目指す人へメッセージをお願いします!

スポーツの仕事は非常にやりがいのあるものです。古くからある業界ではありますが、今、大きな成長と革新の時期にあり活発です。そのため、スポーツの世界に身を置き、スポーツ以外の経験を生かすには、今が絶好の機会です。スポーツという特殊なビジネスを理解することはとても大切ですが、新しい考え方や視点と組み合わせることも非常に価値のあることです。

 

インタビュー&翻訳:中村武彦(PLMキャリア スペシャルキャリアアドバイザー)

 

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