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PLMは、マサチューセッツ大学アマースト校 アイゼンバーグ マネジメントスクール内のマーク H.マコーマック スポーツマネジメント学科(The University of Massachusetts Amherst, Isenberg School of Management, Mark H. McCormack Department of Sport Management)とパートナーシップを結んでいます。同学科は、世界で最も歴史のあるスポーツマネジメントプログラムの1つ(世界ランキング1位)を有しており、この分野における権威的な講座として位置付けられています。
世界トップレベルの様々なスポーツビジネスの現場で活躍している同校の卒業生に、キャリアや仕事についてのインタビューを行いました。
市場調査会社MarketCastのブランド&パートナーシップ担当SVP(シニア・ヴァイス・プレジデント)を務めています。仕事以外の時間は、夫とロサンゼルスのビーチでのんびりしたり、訪れたい国のリストに新しい国を追加しようとしたりしています。これまでに53カ国を訪れましたが、年内にあと3カ国を追加しようと思っています。
MarketCastは、360度のファン体験に対応したリサーチと分析を提供することを特に重視しています。私の仕事は、MarketCastのブランド&パートナーシップ担当SVPとして、スポーツスポンサーやライフスタイルブランドなどのクライアントとの関係を維持し、成長させることです。私たちは、「ファン」を「ブランドの消費者である全ての人」と定義し、全てのブランドは消費者にファンになってもらいたいと考えています。製品のイノベーション、ポジショニング、広告、ブランドの健全性、そして、最終的には、スポーツのスポンサーシップを利用して、ブランド愛と関連性を促進するためのリサーチにおいて、クライアントは私たちのサポートを必要としています。
私のスポーツに関わるキャリアは、大学のアスレチックデパートメント(日本の大学における体育会本部)から始まりました。Pepperdine Universityでマーケティングやイベントマネージャーとして働きました。年間116のイベントをマネジメントし、学生や卒業生、ファンとの関わり方など、あらゆる面から計画、実行しました。その後、Pepperdine UniversityからUMass Amherstへ進学し、スポーツマネジメントの修士号とMBAの2つの学位を取得しました。UMass在学中は、米国オリンピック委員会のアクティベーション・インターンとして、リオ・オリンピックに関する米国の観客の関心と興奮を高めるプロジェクトに従事しました。
卒業後、米国の大手スポーツマーケティング会社Octagonに就職。この企業での最初の仕事は、金融サービスのアカウントチームで、バンク オブ アメリカ シカゴ マラソン(the Bank of America Chicago Marathon)をはじめとする、全ての地域キャンペーンをサポートすることでした。この職務の間、新規顧客のリサーチや提案のサポートなどの新規事業開発に携わり、新規事業の世界が好きになりました。最終的には、新規事業サポートチームのフルタイムの役割に移りました。
約1年ほどこの仕事を続けていた時、スポーツ協賛の分野で将来性を高めようとしていたスポーツ調査会社のTurnkey Intelligenceのスポーツ協賛企業へのアプローチと販売を支援するチームから打診を受け、参画することにしました。私がチームに入ってから3ヵ月後、MarketCast社が同社を買収したという経緯になります。コロナ禍以降、スポンサーシップのクライアントだけをサポートしていた私の役割もライフスタイル・ブランド全般を扱うまでに広がっています。
私はこれまでのキャリアを通じて、自分にとって興味深い機会には幅広く「イエス」と言うようにしてきました。そのおかげで、いくつかの素晴らしいイベントに参画することができました。どれも積極的に「イエス」と言わなければその機会には出会えなかったと思っています。
以下に、私が経験した印象深いイベントをいくつかご紹介します。
・バンク オブ アメリカ シカゴ マラソン(※1)のゴール地点での仕事です。もしあなたが観客としてマラソンにを観に行ったことがなければ、ぜひ候補に加えてみてください。エリートランナーが走る姿を見るという経験は私のキャリアの中でもハイライトの一つです。
・ウォルマートNWアーカンソーLPGAチャンピオンシップ(※2)の仕事で、アーカンソーで7日間を過ごしました。世界最高のゴルファーたちと交流しながら、様々なブランドがどのように製品に命を吹き込んでいるのかを見ることができました。
・ニューオーリンズでのシュガーボウル(※3)やフェニックスでのNCAA トーナメント(※4)の仕事で、Allstate 社(アメリカの大手保険会社)の優秀選手賞受賞者たちの対応をしました。
・NCAAトーナメント ウェスト・リージョナルのトーナメント・マネージャーのアシスタント、及びバンドとチアのリエゾンとして働いた仕事です。チームがベスト8(エリートエイト)に勝利し、準決勝進出(ファイナルフォー)を決めて歓喜している光景は、スポーツファンであれば必ず感動する瞬間だと思います。
・ナッシュビルで開催されたCMAフェスティバル(※5)の現地調査の仕事では、数日間カントリーミュージック界の大物スターに会うことができ、感激しました。
私は幼少期からスポーツに熱中していました。父と私は、NFLチームのニューイングランド・ペイトリオッツの大ファンで、毎年一緒に試合を観に行くようにしています。しかし、Pepperdine Universityで初めてスポーツの仕事に就いたのは、単にスポーツに携わるという事ではなく、有意義で持続的な変化を組織にもたらす手助けができることに惹かれたからです。私がスポーツの仕事を選び、そして続けているのは、スポーツに対する考え方を進化させる必要があると思っているからです。確かに、今でも熱狂的なスポーツファンはいますが、その数は日々減少しています。「縁の下の力持ち」的な人たちをどう取り込むか、ということも考えなければなりません。
私の最初の仕事はここに焦点を当てたものでした。Pepperdine Universityはファンダムの問題を抱えていました。90年代にはチケットが完売していたにも関わらず、現在では学生を試合に参加させるのに苦労しているのです。私の仕事は組織を見て、どうすれば全てのスポーツで学生の観客動員を促進できるかを考えることでした。スポーツファンであるという観点ではなく、カジュアルなファンや好奇心旺盛なファンが、なぜ試合を見に行きたいと思うのかを理解し、それを活用して観客動員を増やすにはどうしたらよいかを考えなくてはなりませんでした。
人が魅力的です。毎日、素晴らしい人たちと一緒に仕事が出来ることが、このスポーツの仕事の魅力だと考えます。一方で難しさは、スポーツは時に、伝統にとらわれすぎることがあります。伝統は大切ですが、将来にわたって持続可能な産業であるためには、進化していかなければなりません。
スポーツ産業はビジネスです。私が面接を行う時、彼らがスポーツ業界のビジネスをどのように見ているか、どのように業界を改革することができるか、さらに、50年後もビジネスが成長しているためにどんな変化が必要だと考えているのか、ということを理解しようと努めています。
インタビュー:中村武彦(PLMキャリアスペシャルキャリアアドバイザー)