INSIDE STORY VoL .12 球団の課題解決のためにシステムと自分のキャリアを生かす。

西武ライオンズ 事業部 事業企画グループ 岩根 良輔さん
BASEBALL

西武ライオンズ 事業部 事業企画グループ

「スポーツに関わる仕事」と一口に言っても、多種多様だ。今回は、パシフィックリーグマーケティング株式会社が運営するスポーツ業界専門の転職エージェントサービス「PLMキャリア」を通じて転職された方にインタビュー。転職のきっかけや仕事の魅力を紹介していく。 

 


そのシステムはなんのために使われるのか


業界において必要な職種は常にアップデートされていく。ITやデジタルの分野とプロ野球との関係はここ10年で急速に深まり、むしろ親和性の高い関係になったといえるだろう。それは試合におけるデータなどの、チームの強化につながるものだけではない。球団経営に関わる部分、そしてファンとのコミュニケーションなど、いわば通常の企業でいう顧客リレーションの部分でもITシステムの企画や開発、運用は必須で、その人材も求められている。岩根さんは前職で顧客向けサービスに関するシステムの企画・開発に従事していたため、まさに球団が欲する人材だった。

 

「現在の業務はライオンズのDX推進。デジタルを使ってお客様満足度の向上を目指しています。わかりやすい仕事内容としては、球場に来られた方が便利に使える公式アプリ開発の主担当として2019年から着手、2020シーズン前にリリースし、以降も定期的なバージョンアップを実施しています」

 

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略。国内では2018年に経済産業省がガイドラインを策定したことで注目された。DX推進を平たくいえば、「デジタルに変わることを推進する」こと。もう少し具体的にいえば「既存のインフラ、組織、生産方式などの仕組みやビジネスを、データやデジタル技術、AIやIoTといったICTの活用によって変革する」ということになる。大きな目標だが、岩根さんが担当する公式アプリなど、私たちにとっては身近なツールが、その玄関口でもある。

 

「公式アプリについて、システム的にそこまで高度な技術を用いているわけではありませんが、お客様と近しいメンバーと検討しながらより良いものを構築すべく進めています。システムはあくまでも手段で、やはり使っていただきやすいものを提供することを考えなければいけません。お客様の声も取り入れながら定期的に機能を見直していくことも大切です。サービスは公開されて終わりではありません」

 

元々生命保険会社で9年半にわたり、社内事務及び顧客向けサービスに関するシステムの企画・開発に従事していた岩根さん。基幹システムにつながる高度で複雑な開発に関わっていたが、技術的なことだけに仕事の醍醐味を感じていたわけではなかった。サービスは使われてこそ、そして集まったデータは生かしてこそ。そこでシステムに付随するマーケティング業務も岩根さんは手掛ける。

 

「シーズン中、試合中にあがってくる球場の日々のデータもおもしろいんです。例えばチケットの認証、ファンクラブ会員証による来場登録、飲食やグッズ購入時のポイント付与など、お客様とのデジタル接点が強化されてきたことで、場内でのお客様の行動がかなり可視化されてきています。何を購入されたのかということはもちろんですが、来場されてどういう行動をとられるのかということをつかめば、そこからより良いサービスが提供できるようになりますから」

 

システムの開発というと、当然、技術的な知見や経験は必要になる。しかしそこには「そのシステムを誰が、何のために使うのか?」という明確な目的、そして「それをやりたい」というマインドも大切な要素になる。岩根さんはそこが明確だ。

 

「デジタルを使ってファンの方の満足度を向上させたい。満足できる環境を、デジタルを使ってつくりたい。アプリはそのとっかかりです。今後、より機能を充実させることでお客様との接点を強化し、データ取得・活用のサイクルをまわしていければと考えています。やはりシステムはそのための手段。いずれにしても新しいことをやっていきたい。トライしたいですね」

 

本来、2020年は岩根さんの思いを軌道に乗せるべく、新しいトライを繰り返せる1年だった。しかし、すべての人が直面したように、ままならない1年となってしまった。

 

「昨年は特別なシーズンでした。運用もイレギュラー。システムの仕事としては、例えば

チケットの認証です。新型コロナウイルス対策として、急きょご来場いただいたお客様を特定しなければいけない。その対策に追われたところはあります」

 

目指すことに向かってトライできることもあれば、足を止めて対応に追われることもある。


「ただベースとしてはおもしろいことをやっているので、そうなってもしんどいことはありません。シーズン中にはできないことでも、シーズンオフでできることもありますから」

 


裁量が大きいからこそ必要な経験値


さて、大手企業で働いていた岩根さん。転職のきっかけは何だったのだろうか。

 

「新卒で入社して10年目。そろそろひと区切りかな、と思ったんです。新卒で一生その会社で務めるというのも立派だとは思っていました。ただ、自分はどうなのだろうかと。そんなタイミングで、テレビでPLMキャリアを知りました。もともとスポーツビジネスに興味がありました。特殊な業界というイメージがあったので縁が遠いと感じていましたが、おもしろそうだな、好きなことに関わりたいなという気持ちが強くなりました」

 

縁遠いと思っていたスポーツビジネスだが、実際に転職活動をしていると「他業種と同様に採用活動も行っているし、良い意味で普通の企業なんだな」という感覚を持ったという岩根さん。では実際に西武ライオンズに入社して、イメージとのギャップや、仕事をするうえでの環境などで前職との違いはあったのだろうか。

 

「そもそもイメージがなかったのでギャップというのはありませんでした。基本的にやっていることは大きく前職とは変わりません。ただかなり違うなと感じたのは、動きやすさでしょうか。担当者ベースの裁量が大きく、スピード感がある。前職ではシステムが大きくなりすぎていたので、なにかを変えようとすると、お金と時間がかかってしまう」

 

変化をさせるのにかかる労力と覚悟が重い。だから変化は少ないかもしれない。ただ、多くの契約者を抱え、その安心と安全を長年にわたって、そして将来にわたって約束しなければならない会社において、それは仕方のないことである。しかし、大切な顧客=お客様を相手にするという大前提は一緒であるため、培った経験は、裁量が大きく、かつスピード感がある環境において、かえって生きてくるものとも言えるだろう。

 

「いいなと感じたのは、みなさん野球が好きで、ファンの方のために良くなることなら積極的にやっていこうという気持ちが強いことです。担当者ベースで、それぞれの部門を越えて相談をしあうことも多い。それがスピード感にもつながっているのでしょう。私からもいろいろお願いをしますが、みなさんとても協力的なんです」

 

前職ではまずチーム、そして部門、関連部門と稟議、決済を通しながら話が上がっていく。時にはタイミングを逃し「この件は来年やるか」となることもあったという。DX推進という部門は、技術を通じてマインドを変えることを目的とするが西武ライオンズではすでにその素地があるのだろう。最後に、どんな人がこの仕事に向いているかを聞こう。

 

「まず、主体的であること。裁量が大きいということは、自分から動ける土壌がある一方で、自分から動かなければなにも起こらないし、なにも与えられないんです。そして、システムに関わるならば、いろんな人と話せるコミュニケーション力が重要です。我々の仕事は課題があって、それを解決すること。いろいろな領域でシステムがあって、球場内だけでも、飲食もグッズもシステムで課題を解決することができます。繰り返しになりますが、システム自体はあくまでも手段なのですから」

 

♢PLMキャリアの詳細はこちらからご覧いただけます。

https://career.pacificleague.jp/

 

文・岩瀬大二

 

INSIDE STORY一覧へ戻る